昨朝、交通事故で九死に一生を得た話

つい先日、ニュースで何度も流れた交通事故の映像を覚えてる人も多いと思う。
対向車線から飲酒運転の車が中央線を飛び越えてきて、走行していたタクシーに衝突し
タクシーの運転手と乗客が死亡した痛ましい事故。
その様をタクシーに取り付けられていたドライブレコーダーが克明に録画していた。
亡くなった運転手の親友でもあったタクシーの会社社長はインタビューに対してこう答えていた。
「あと2秒でも3秒でもずれていれば事故に遭わなかったのに」と。
同じような体験を昨朝経験した。
 
昨日早朝、片側2車線の広い道路の追い越し車線側を配達中の軽トラックで走行していた。
突然対向車線から3ナンバーサイズの乗用車が中央線を越えてこちらの車線に入ってきた。
夜間・早朝の時間帯には乱暴な車が多い。
対向車線にはみ出してまで追い越しを仕掛ける乱暴な車も珍しくない。
だから対向車が自分の前に現れた時も警戒はしたけれどそれほど驚きもしなかった。
しかしはみ出してきた対向車はブレーキをかける気配もなく僕の目の前を通り過ぎ、
さらに走行車線の方へ流れていく。
僕の真横にはこれも3ナンバーサイズの乗用車がいるはず…
「!!!!!」
直前を横切った対向車は僕の真横にいた車にそのまま突っ込んでいった。
ぐしゃっ!!
 
対向車はぶつかった後、その勢いで僕の車の方に向かってきたが間一髪避けられた。
さらにぶつけられた車のすぐ後ろには原付がいた。
事故に巻き込まれライダーは宙を飛んで道路に叩きつけられた。
 
救急車がきた。
ぶつけられた車の運転手は幸い無傷のようだった。
対向車の運転手は飲酒運転だったのかそれとも居眠り運転だったのか、
どちらにせよシートベルトもしてなかったようで
頭から血を流して横たわったまま動けず、ただ呻いていた。
原付で事故に巻き込まれてしまったおじさんは道路に横たわったまま全く動かず。
ただ救急隊の呼びかけにはかすかに応えていたようだ。
 
ぶつけられた車は3ナンバーの乗用車。
おそらくエアバッグのおかげで運転手は無傷で済んだのだろう。
でももし自分の運転する軽トラックにぶつかっていたら…
エアバッグもなくボンネットもない軽トラック。
ぶつかっていたら僕は死んでいたかもしれないし、最低でも足の骨折は免れなかったに違いない。
仕事柄、運転経験も豊富で数々の修羅場をくぐってきたと多少の自負心はある。
そんな僕でも事故後30分は動悸がおかしいまま元に戻らなかった。
もしほんの少し前を走っていたら、ほんの少し何か歯車が狂っていたら……
 
そう、思い返せば事故の日の朝は奇妙な出来事があった。
いつも乗っている自分の軽トラックがなぜかエンジンがかからない。
二日前まで何も異常なかったのに、なぜかバッテリーがあがっている。
ライトも消してあったしキーも抜いてあったのに何故??
仕方なく父親の軽トラックに乗り換えて配達することになった。
父親の軽トラックは自分の軽トラックと見た目はそっくりだが、その乗り味が全然違う。
特にクラッチミートの感覚。
乗りづらいくていつものペースでは走れない。
事故に遭遇したとき、もし自分の軽トラックで走行していたらいつものペース、
つまり事故の時よりも速いスピードが出ていたと思う。
そうしたら、あの対向車にぶつかっていたのは自分だったかもしれない。
 
毎日僕は仕事で軽トラックに乗って配達するけれど、車にはいつも無理ばかりさせていると思う。
早朝の時間帯は車の流れが速いので、荷物満載の状態でも
流れに負けないハイスピードで非力な軽トラックを全開で走らせる毎日。
なので、恥ずかしながら僕は普段仕事を終えると必ず自分の軽トラックに手をふれて
「無理させてごめんね」とか「お疲れさん」とか「ありがとう」などと心の中で囁く。
毎日一緒に頑張って働いている軽トラックが僕のそういう想いに応えて
昨日の事故から僕を守ってくれたような気がしてならない。
 
この件では事故に遭って重傷を負った人もいるし、助かったとは言っても手放しでは喜べない。
自分だけが無事で済んでしまったことに対する罪悪感のようなものも未だに胸を去来する。
ただ、今回の一件で「自分はまだ神に"CALL ME"されてないんだな」、
「まだ生きてやることがあるってことなんだな」って強く感じました。
頑張って生きねば。
 
 
P.S.
最後に、この事故に巻き込まれてもっとも大きなダメージを被ってしまった、
原付のおじさんが無事に回復されることを心よりお祈りいたします。